
近年「注文住宅で平屋を建てたい」と考える方が増えています。階段のないワンフロアの間取りは家事動線がシンプルなため、子育て世代だけでなくシニア層にも人気です。ただし注文住宅の平屋は、2階建てと比べて建築費用が高くなりやすいのが特徴です。後悔しないためには、事前に価格相場やコストを左右するポイントを押さえておくことが大切です。この記事では、平屋の価格相場について解説します。費用を左右するポイントや建築例などを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
平屋とは
平屋とは、生活に必要なすべての設備が1階に集約された、利便性と耐震性に優れた住宅です。
LDK・寝室・浴室・トイレなどがワンフロアにまとまっているのが平屋の特徴です。縦移動がないため動線がシンプルで、年齢を問わず暮らしやすい住まいとして注目されています。
平屋は快適な暮らしやすさと高い安全性を兼ね備えた住宅スタイルで、幅広い世代に選ばれています。
平屋のメリット
平屋は効率的で快適な暮らしが手に入れられ、家族のつながりを感じやすい住まいです。
すべての設備がワンフロアに集約されているため、生活動線がシンプルでコンパクトにまとまります。階段がない構造はバリアフリー設計もしやすく、部屋間の移動もスムーズです。
また屋根の形状を活かしたスキップフロアや屋根裏など、空間を最大限に活用した遊び心のある間取りの設計も可能です。同じフロアに家族が集まる機会が多いため、自然とコミュニケーションが生まれるのも平屋の魅力といえるでしょう。
動線の良さと家族のつながりを重視する方にとって、平屋は世代を問わず魅力的な選択肢となります。
平屋のデメリット
平屋住宅には、建築費用や税金のコストに注意が必要です。
平屋は、同じ延床面積の2階建て住宅に比べて基礎部分や屋根の面積が広くなります。そのため、建築コストが高くなりやすい傾向があります。
加えて周囲に2階建てが多いと、日当たりや風通しが悪くなる可能性も考えられるでしょう。また基礎面積が広いため資産価値が高いと判断され、固定資産税の負担も増える可能性があります。
平屋を建てる際はコスト全体をしっかりと把握し、慎重に検討することが大切です。
【注文住宅】平屋の価格相場
平屋住宅は2階建て住宅に比べて建築費が高くなる傾向があるため、事前に価格相場について理解を深めておきましょう。
住宅金融支援機構が公表した「2023年度フラット35利用者調査」による注文住宅の面積や建設費の平均は以下の表のとおりです。
項目 | 平均数値 |
平均住宅面積 | 119.5㎡(36.1坪) |
建設費 | 3861.1万円 |
坪単価を計算すると、約107万円となります。
すべての空間をワンフロアとする平屋は、基礎や屋根の面積が広くなりやすいのが特徴です。同じ面積で2階建てを建設するよりも費用が高い可能性が考えられるでしょう。
ただし、建築費用は地域や仕様によって変動します。まずはハウスメーカーに見積もりを依頼するのがおすすめです。
実際の建築費用を正確に把握するためにも、相場データを参考にしながら早めに見積もりを依頼し、具体的な金額を調べましょう。
平屋の価格を左右するポイント
平屋の価格は、住居や屋根の形状により変動します。ここでは、平屋の価格を左右するポイントを詳しく解説します。
住居の形
平屋住宅の建築費用に大きく関わるのが、住居の形状です。
たとえば凹凸の形状は構造が複雑なため、工事費が高くなる傾向があります。とくにL字型やコの字型などの間取りは、基礎や屋根の面積が増える分だけ材料費や施工の手間がかかる可能性があります。
平屋住宅を建てる際は希望の間取りだけでなく、コスト面にも注目しながら形状を検討することが大切です。
屋根の形
平屋住宅では、屋根の形も建築コストに大きく関わります。
平屋は2階建てに比べて屋根の面積が広くなりがちで、延床面積が同じでも屋根面積は約40%増えるといわれています。屋根の勾配がきつい場合は斜面が長くなる分、コストも増えるでしょう。
とくに屋根面が四方向に広がる「寄棟屋根」は、部材が多く工期も長引きやすいため、コストがかさみます。また平らな形状の「陸屋根」は水はけが悪く、防水施工が必須となるため注意しましょう。
廊下スペースの有無
平屋の建築費は、廊下スペースの有無にも左右されます。
廊下スペースを設けると、延床面積の増加につながります。壁材やドアなどの材料が追加されれば、その分コストがかさむでしょう。
また広い廊下があると冷暖房の効率が下がるため、入居後の費用がかかる可能性も考えられます。効率的な間取りで廊下を必要最低限に抑える工夫が必要です。
平屋の価格を下げるためのコツ
建物の形がシンプルなほど、施工の手間や材料費が抑えられコストダウンにつながります。屋根は「切妻屋根」や「片流れ屋根」がおすすめです。寄棟屋根よりも施工コストを抑えられる傾向があります。
また独立した廊下を設けずに部屋を配置すれば、廊下にかかる床面積の削減や壁・建具の数を抑えられるため、建築コストの削減が可能です。
平屋の建築実例5選
平屋は、間取りやデザインを工夫すれば他にはないホームスペースが実現できます。ここでは、平屋住宅で実現可能な建築例を5つ紹介します。
ギャラリースペースになる土間リビングを採用したデザイン
家族の暮らしに開放感と多目的な空間をもたらすのが「ギャラリースペース付きの土間リビング」です。土間にギャラリースペースを設けることで、趣味や作品展示など家族の個性を表現できる場として楽しめます。
加えて室内に勾配天井と大開口の効果を最大限に活用すれば、広々とした空間と自然光により開放感が得られるでしょう。アウトドアリビングを感じさせるフラットなウッドデッキを採用することで、家族のくつろぎの場となります。
利便性の高いロフトを採用したデザイン
ロフトを活用した平屋は、開放感と使い勝手の良さを兼ね備えた利便性の高い住まいです。高天井とロフトを組み合わせることで、平屋ならではの広々としたLDKが実現します。
ロフト部分は家族の多目的スペースとして設計すれば、収納・趣味・子どもの遊び場など多彩な用途に合わせて使用できます。また来客スペースとしても活用可能なため、プライバシー確保の場にもなるでしょう。
ロフトを採用した平屋は、利便性と快適性を求める方におすすめです。
ペットの住み心地にも配慮したデザイン
平屋の構造を活かしながら動線や設備を工夫することで、ペットと人がともに快適に暮らせる空間が実現します。
庭をフェンスで囲み、ドッグランスペースとして活用するのがおすすめです。外にお湯の出る水栓を設置すれば、ペットに付着した汚れを家に入る前に洗い流せます。
室内は段差を少なくした回遊動線を確保し、ペットと子どもが一緒に走り回れる空間をつくります。ペット用のトイレはリビングから見えにくい場所にスペースを設け、専用の収納スペースも備えることで、お世話のしやすい環境づくりが可能です。
おしゃれと機能性を兼ね備えたデザイン
デザイン性と機能性を両立した平屋は暮らしを豊かにし、日常にちょっとした特別感をもたらします。
おしゃれカフェのような外観と内装に加え、幻想的な照明の演出を取り入れた平屋は、昼も夜も目を引くデザインが魅力的に映ります。室内はワイドな開口部と中庭を組み合わせることで、床面積以上に開放感を感じられる空間づくりが可能です。
視覚的な美しさと実用性をバランスよく取り入れることで、家族みんなが心地よく暮らせる住まいの実現が可能です。
子どもの巣立ちを見据えた将来性のあるデザイン
子どもが独立した後も夫婦での生活が続くことを想定した設計なら、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。
ワンフロアの平屋は生活動線がシンプルなため、年齢を重ねても快適に暮らせるのが大きな魅力です。家族全員が長く過ごすLDKに広く快適な設計を施すことで、子どもたちが元気に走り回る姿を自然なかたちで見守ることができます。
将来を見据えた平屋のデザインは、家族の成長に寄り添いながら長く快適に住み続けたい方におすすめの住まいです。
まとめ
平屋は生活のしやすさや家族のつながり、将来の安心感を備えた住まいとして幅広い世代から注目を集めています。一方で、建築費用や土地の広さといったコスト面での課題もあります。
平屋を建てたいと考えている方は、建築のポイントや価格相場をしっかり押さえたうえで、理想の暮らしに近づける住まいづくりを進めていきましょう。
注文住宅での平屋建設をお考えの方は「兼六ホーム」にご相談ください。「安心・安全・快適」を大切に、理想の家づくりを実現します。